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「体は一つ」と思っていた僕が、食養生で知ったこと

中学生の頃、ホリスティックなお医者さんが地元に引っ越してきました。漢方、気功、同種療法——そういった民間療法を色々と教えてもらった経験が、僕の食への関心の出発点になっています。

「食で体を良くしたい」という思いから、マクロビオティック、ローフード、断食など、食事療法を一通り学んで実践しました。そこから食の世界に入って、料理研究家として食養生の仕事をするようになったわけですが、やればやるほど気づいてくることがあったんです。

体というのは、肉体だけではないということです。

アーユルヴェーダには「コーシャ」という概念があります。さやが5つ重なっていて、一番外側が肉体、その内側にエネルギーの体、さらにその内側に……という構造です。スピリチュアルな言葉で言えば「ハイヤーセルフ」や「本当の自分」に近いものが、一番内側にあるというイメージです。

中医学の「気」も同じで、気のボディという視点から経絡や体の仕組みを見ると、ロジックだけでは理解できなかったものがすっと腑に落ちる瞬間があります。

これが面白いのは、食べ物についても同じことが言えるからです。5つの体がそれぞれ違う「食べ物」を必要としている。肉体の食べ物は当然、食事です。でも気持ちの体には、感情や経験が食べ物になる。そういう考え方をすると、「体が元気なのに何か満たされない」とか「心が元気だと体も動く」といった感覚が、ちゃんと理由のあることとして捉えられるようになるんですね。

食養生をやっていた頃から感じていたのは、体に良いものを食べ続けると、ある日突然変わるのではなく、毎日の選択がじわじわと変わっていくということです。気づいたら体が軽い。なんとなく選ぶものが変わっている。そういう緩やかな変化が積み重なって、気づいたら別の自分になっている。

強い意思で変わろうとしなくても、習慣が変われば結果が変わる。それが食の世界の一番面白いところだと、今でも思っています。

気持ちの面から体を整える方法にも、同じ原理が働きます。感じるトレーニングを少しずつ続けていくと、直感が冴えてくる。どこかモヤモヤを感じながらも、それを言語化せずに持ち続けていると、ある時「あ、そういうことか」という腹落ちがやってくる。

自分の体の声を聞くということは、案外地味で、でも確実な変化をもたらします。

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